看護英語テキスト『Nursing English in Action』編著者の思い

欧米諸国での看護師の経験と英語力を持ち合わせた看護師たちを中心に、看護英語テキスト作りが始まりました。私も英語を教える経験も積み、受講生の看護師の皆さん達からも様々なご要望も聞いていました。

「看護英語」を学ぶ上では、もちろん医学用語の英単語などを勉強するのは大事です。

しかし、難しい医学用語の英単語で英語ネイティヴの患者さんに話しても理解はしてもらえないことが多いでしょう。それは、日本人の患者さんに日本語で難しい医学用語で伝えてもほとんど理解されないことと同じでしょう。それでは「医療現場で使える英語表現」とは何なのかと考えたところ、日々患者さんに接するときの会話表現ではないか、と考えました。看護師と患者が「出会う」場面のダイアログ作りが先行し、そのダイアログから「vocabulary」や「useful expressions」を抜粋し、レッスンを組み立てていく、というプロセスで作成しました。

思い返せば作成に取り掛かった時期は、メンバーの看護師2人と私の間で、メールによる看護に関する様々なディスカッションが繰り広げられていました。私はアメリカでの看護経験しかなく、日本の医療現場での看護業務の実態があまりわかりませんでした。それでは「日本の医療現場で使える英語表現」を的確に紹介することができないと思いました。メンバーの看護師たちは日本及びニュージーランドの医療現場の幅広い経験があり、「ナーストーク」は「万国共通だ」と思えるときもありました。一方では、文化や制度の違いがあるな、と思うことも多々ありました。また、同じ英語圏でもアメリカとニュージーランドでは使う用語が違ったり、表現も違ったりしました。この違いをおもしろがりながら、どのようにしてテキストにまとめるか、という課題を掲げて、頭を抱えながら突き進みました。

このテキストは、少しオフビートな看護師達が言葉の壁、翻訳の限界、文化や制度の違いにぶち当たりながらコンテンツを鍋に入れ、コトコト火にかけて様々な方からのスパイス(ご助言)をふりかけながら仕上げた合作(傑作?)です。

この看護英語のテキストを作成するにあたっての「思い」を尋ねられたときに、真っ先に思ったことは「それはそれは大変な思いで作成しました。」という一言です。

2015年9月

編著者:橋本実和(米国・日本看護師、米国看護学士)IPEC看護英語教育アドバイザー

アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。

ちょうど10年程前にニュージーランドの看護師になることを目指し、IELTSのテストを終え、就職が決定し、自信に満ち溢れた思いで仕事を始めていました。しかし、医療現場で英語でのコミュニケーションの難しさに直面。「あなたの英語が分からない。」と患者に言われる事もありました。悔しい思いをしながらも医療現場で使われる表現を日々書きとめ、習得していきました。疾患名や薬剤名の発音、患者の対応方法など、医療現場で使われる独特な言い回しは何通りか覚えることで応用出来ます。

あと、特に大切なのは発音です。正確な発音をしないと、相手には通じず、誤解を招く事にもなります。このテキストはまさに私が仕事を始めたときに現場で必要としていた内容すべてが集約された物です。これを習得することで、外国人患者さんが入院されても苦手意識を持つことなく対応できます。

また、将来、グローバルに活躍したいと考えておられる看護学生の皆さんには看護英語のスタートとして学ばれるのに最適だと思います。

2015年9月

編著者:森本博美(日本・ニュージーランド看護師)

看護師として混合病棟と外来での臨床を5年経て、保健師として2年保健所で勤務後、ニュージーランドへ渡る。ワーキングホリデーを体験後、看護師免許を取得。クライストチャーチにある老人ホームで2年従事後、Public Hospitalの整形外科病棟に6年弱勤務。クライストチャーチ在住中に2011年2月22日の震災に遭遇。