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【Nursing English in Action】Chapter3 患者のプロフィール:番外編

患者のプロフィール
患者が病院に入院する時に、看護師が色々な情報を集めるのは日本でもアメリカでも同じです。アメリカならではの質問(日本でもしているところがあるのかわかりませんが、私自身入院した時には聞かれませんでした)について今回はお話をします。
私が働いていた病院では、入院してくる患者さんに必ず次の質問をしていました。 「あなたは今までに誰かに殴られたり、蹴られたり、その他、負傷させられたことはありますか。」 お分かりかもしれませんが、これはdomestic violence (DV)について尋ねる質問です。DVのスクリーニングは入院プロセスの一環として行われていました。
今ではdomestic violenceのことをintimate partner violence(親近者間暴力)ということが多く、「家庭内」だけでとどまらない社会問題であることはアメリカだけでなく、日本でも同じだと思います。多くのケースが表に出てこない場合があり、医療機関にかかって初めて明らかになるという場合もあるということで、入院の手続きの一環として組み込まれるようになったとされています。
ただ、毎回質問する時にどのように聞いていいのか迷っていたことを思い出します。他の質問が全て終わった後に訊く内容だったので、いつも、 “I just have to ask you one more question. This is something I ask all new patients.” (それでは最後にもう一つ質問があります。これは新しい患者さん皆さんにお訊きする質問です。) というふうに、前置きをしていました。これは、もし本当に暴力を受けている患者さんがいた場合に警戒心を抱かせないように、という配慮からでした。
私の経験でこの質問に”Yes”と答えた患者さんは一人しかいませんでしたが、この人はDVというよりは単発的に暴力事件に巻き込まれた、というような状況だったと思います。大抵の場合は”No”だろうと思いながら聞いていたので、”Yes”と答えが返ってきた時はドキっとしました。

私の働いていた病院ではこの1問だけでさらっと終わってしまっていましたが、もう一歩踏み込んだ質問をしているところもあるようです。

”Do you feel unsafe in your current relationship?”
(現在の恋愛関係の中で危険を感じることはありますか。)

“Is there a partner from a previous relationship who is making you feel unsafe now?”
(以前に恋愛関係にあったパートナーによって現在危険を感じることはありますか。)

“Have you ever felt controlled or isolated by a current or past partner?”
(現在または過去のパートナーに、コントロールされたり周りから孤立させられたりしたことはありますか。)

DVは”health problem”とも言われています。医療従事者である看護師も解決に貢献できる立場にいるという自覚を持って、この問題に向き合うべきなのではないかと思います。


ブログ執筆者

橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー

アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。

Nursing English in Action

看護学生・現役看護師の方々からの強いご要望にお応えして、実践的な英語コミュニケーション力を習得できる 「看護英語テキスト」を作成しました。

看護・医療系学校の英語授業、医療機関の英語研修でご活用いただいております

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