ADL関連のアセスメントとしてfalls risk assessment(転倒するリスクのアセスメント)とskin risk assessment(皮膚の損傷リスクのアセスメント)というものがあります。これは日本の病院でも力を入れているものではないでしょうか。転倒や褥瘡は病院では起こってはならないこと(“never events”と呼ばれています)で、患者さんの安全を第一に考えた看護ケアが大事になってきます。
私が働いていた病院ではまず入院時にfalls risk assessmentが行なわれます。それによってその患者さんが“fall risk”と判定された場合は黄色いリストバンドがつけられ、対応する時は転倒のリスクが高いということを念頭にケアをします。
Universal fall precaution(普遍的転倒防止策)というものがあり、これは入院患者全般を対象にしていますが、特に転倒するリスクの高い人に配慮を促すものとなります。1時間に1回は患者さんに排泄の必要がないか聞いたり、ナースコールは手元にあるか、ベッドの足元のレールは下がっているか、ベッドは一番低い位置に設定されているか、ベッドの周りはごちゃごちゃしていないかなどを確認したりしていました。
Skin risk assessmentは、Braden Scale(ブレーデンスケール)を使って1日1回は看護記録にエントリーをしていました。リスクが高い患者さんにはやはりリストバンド(確か淡い紫だったと思います)がつけられます。特に寝たきりになっている患者さんは要注意で、排泄の介助や清拭をしている時に、背中やおしり周辺をしっかりアセスメントをすることを心がけてやっていました。清拭というとほとんど看護助手にお任せしてしまう作業でしたが、自分で体位交換ができない患者さんは必ず二人がかりなので、背中を意識的に拭くようにしていました。
患者さんによっては転倒リスクも褥瘡のリスクも高く、さらにアレルギーなどがあると赤いリストバンドもつけられ、もちろん氏名と生年月日のリストバンドはしていますので、手首周りに「ジャラジャラ」とリストバンドがたくさんついている患者さんも少なくはありませんでした。(正直言って採血などをするときに邪魔でした。)
万が一転倒をしてしまったり褥瘡ができてしまったりした場合は、インシデントレポートを書く必要がありました。転倒で頭を打ってしまった場合は医師に頭のCTが必要かを聞いたり、褥瘡を発見した場合はWound Care Nurse(創傷ケア看護師)のコンサルテーションが必要でした。褥瘡を発見した時点で写真を撮って、大きさやどのステージか、などの情報も入れて記録に残していました。これらのアセスメントもADLのケア度が高ければ高いほどリスクが高く、記録する事務作業も複雑になることがありました。
橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー
アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。
看護学生・現役看護師の方々からの強いご要望にお応えして、実践的な英語コミュニケーション力を習得できる 「看護英語テキスト」を作成しました。
看護・医療系学校の英語授業、医療機関の英語研修でご活用いただいております
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