今回は、現地での就職活動の実際とカンボジアでの生活について詳しく聞いてみたいと思います。日本と文化の違うカンボジアでは、実際どうやって就職活動するの?カンボジアではどんな面接が行われるの?勤務初日の朝の出勤の様子などお聞きしました。
前回の話の中で「インターナショナルのクリニックに飛び込みで履歴書を持っていき、マネージャーに直接交渉しました。」と書きましたが、なぜ、こんなことが可能かと言いますと、カンボジアでは、契約書に「自己都合による退職は90日前に申し出る」とあっても、実際には1~2週間前か、ひどいケースだと辞める前日に上司に伝える人が多いようです。そのため、丁度そのタイミングで就職活動している人が現地にいた場合、就職が決まりやすいそうです。 外国人が経営する医療機関では、カンボジア人は勿論、英語圏での医療資格をもっている看護師も働くことが出来ます。私は、ニュージーランドの看護師資格を持っていたので、英文の履歴書を準備し、現地での就職活動を5月から始めました。気合は十分だったのですが、その時期カンボジアは一番暑く、病気になる人が多い時期。私自身も高熱がでて病気になり、就職したい医療機関の中の1つのクリニックに患者として受診するはめに!診察の後に、領収書と引き換えに履歴書を渡し、具合が悪かったので後日連絡する旨を伝え、数日後、Nurse Managerとの面接まで漕ぎつけました。残念ながら、人材は充足している状態で、退職者があれば連絡するという返事で終わってしまいました。このような就職活動もカンボジアならではでしょうか?
日系の企業や医療機関で面接を受ける際に注意していただきたいのが、「現地採用」という言葉です。カンボジアに住む日本人向けに出される求人情報の中によく見かける言葉です。求人広告の中でこの言葉を直接使っている企業や医療機関は少ないのですが、カンボジアに在住している日本人は理解しているようです。「現地で採用される」=「カンボジアの労働基準法に合わせて作られた雇用契約」であるため、カンボジア人と同じまたは類似する待遇になります。カンボジア人の収入は日本人と比べてかなり低く、看護師で$200~700/月といわれています。福利厚生は、有給7~10日(初年度)、残業手当は基本時給の2倍(残業する看護師はほとんどいません)、休日出勤の際には2倍の給料が支払われますが、働く場所によって様々です。病院勤務は、12-24時間勤務であったり、クリニック勤務だと、週休1日という所が多いようです。交通費、保険、退職金などはありません。現地採用としての契約内容と給料を面接時に提示されますが、提示された契約内容に納得がいかない場合は交渉ができます。数日間の交渉の後、契約が成立します。 私はプノンペンにある日系のクリニックで面接し、給料と有給の交渉だけで、数週間を要しました。初めは現地採用としての給料の低さや福利厚生のなさにがっかりしますが、カンボジアでの生活費は安い(家賃2万~4万)ため、しぶしぶ納得の上、契約し就職決定の運びとなりました。
今回の話では、現地で直接就職活動するメリットや日本企業の「現地採用」とはどういうものか、がわかりました。また、出勤の様子は、カンボジアのお国柄が想像できたのではないでしょうか?次回は、クリニックの仕事を通して、カンボジア人と働く事ってどういう事なのか、文化の違いが浮き彫りになる話が聞けそうです。お楽しみに!
森本 博美さん
日本・ニュージーランド・カンボジア看護師
国内で看護師として病棟・外来の臨床経験を経て、保健師として保健所に勤務。その後、ニュージーランドへ渡りワーキングホリデーを体験後、看護師免許を取得。クライストチャーチのPublic Hospitalの整形外科病棟に6年、老人ホームに約2年勤務。2014年にカンボジアに渡り、現在日系クリニックで看護師として活躍中。
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さて、出勤初日。カンボジアの朝は早いです。朝6時前から食堂や店などを開ける準備がはじまります。多くのカンボジア人は、朝ごはんを日本でいう屋台のような店で食べます。ヌードルやチキン&ライスというカンボジアの定番朝食を食べて出勤します。電車やバスはないため、バイクや車での通勤が多く、バイクに乗れない人は(私も含め)「モトタクシー」といって、日本でいうバイクの後ろに乗ったり、「トゥクトゥク」(写真)に乗って通勤します。家を出るとすぐ「はい、レディ、モットー!」と何人もの男性が声をかけてくるので、初めは「レディ」と呼ばれ、嬉しく感じますが、毎日となると、だんだんうっとうしく感じる人が多いようです。値段は3kmで$1~3(¥120~360)。交渉次第でこれより安くなります。朝の通勤時間帯の道は大変混雑する所が多く、普段の2倍の時間がかかったりします。大きな道には信号がありますが、カンボジア人、特にバイク運転者はあまり交通ルールを守らないため、信号無視、逆走、歩道を走るのを見かけるのも日常茶飯事です。ヘルメットを着用し自分の身は自分で守る人も少なく、若者のバイク事故は多いといわれています。万が一、交通事故を起こした人達を見かけても見過ごすのがカンボジア人の生き方だそうです。理由は、手助けをしてしまうと、事故で怪我した人を病院まで運び、診察費の支払いまでさせられる事が多いからです。事故にあった時点で被害者のバックなどは盗まれ、所持品はなく、家族に連絡をとっても、支払う能力のない人達が多いのが現実です。