ですので、”I have a stomachache” や “My stomach hurts”と患者さんに言われたときには「はい、そうですか。」と言って胃痛に関する質問だけをするのではなく、まず”Can you point to where it hurts?”などと聞いて、痛みを訴えている場所をきちんと示してもらった方がいいでしょう。そうすることによって問診をスムーズに進められるでしょうし、問題に早く到達することができるかもしれません。
また、“tummy”や “belly”も「お腹」を意味する英単語です。これらは大抵の場合、子どもが使ういわゆる「幼児語」になります。ですので、小児患者さんを相手にしている場合は出てくる可能性の高い単語です。”I have a tummyache/bellyache.”などと言ってくるかもしれませんので、覚えておくと役に立つでしょう。
ちなみに問診の際に「最後にお通じがあったのはいつですか。」という質問をすることが多いと思いますが、英語では”When was your last bowel movement?”という尋ね方をします。直訳すると「最後に腸を動かしたのはいつですか。」ということですが、上品に聞こえます。また、術後によく聞く「おならは出ましたか。」というときにも “fart (おなら)”というそのものズバリの言葉を使うのではなく、”Did you pass gas?”という表現を使います。これらの表現は英語圏の大人なら大抵知っている表現なので、覚えておくと便利な表現です。もちろん “When did you last poop?” や “Did you fart?” といえば通じることは通じますが、ここで紹介した表現を使ったほうが、より「プロフェッショナル」に聞こえます。(小児患者さん相手の場合は “poop”や “fart”を使わないと理解してもらえないと思いますのでご注意を!)
“I have butterflies in my stomach.”は直訳すると、「胃の中に蝶々がいる」ということになりますが、決して蝶々を飲み込んでしまったわけではありません。これは「緊張している」という意味の表現になります。術前患者さんに「気分はいかがですか。」と聞いたときに “I have butterflies in my stomach.”という答えが返ってきたら、「あ〜、この人は緊張してるんだな。」とわかってあげてください。
橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー
アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。
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医療英語を勉強したことのある人なら、”stomach”は「胃」と習いますし、「腹」は “abdomen”だということはご存知かもしれません。ですが、そのように覚えてしまうと、実際に問診をしたときに話の行き違いが生じる可能性があります。日本人が一般的に「お腹が痛い」という感覚で欧米人は “I have a stomachache” と訴えることが多いからです。”stomach”を「胃」と覚えていると、”I have a stomachache”と言われたときに、「この人は胃が痛いのか、」と思ってしまうかもしれませんが、よく話を聞いたり、行動を観察してみると、「下痢をしている」と言っていたり、痛いと言って押さえているのが下腹部だったりすることがあります。