ほとんどの場合は患者さんの意識はすでにあまりない状態の人が多かったように思いますが、もし痛みがあれば麻薬を点滴を通して投与し、投与する頻度や薬の強さも痛みの反応によって増やしたりします。(もちろんこれは医師のオーダーの元で行われます。)息苦しそうにしていたら酸素を投与したり分泌物が息苦しさに加担していると判断される場合はそれを抑える薬を投与したりします。普段は寝たきりの状態の患者さんは2時間ごとの体位交換をしますが 、Comfort Care の患者さんの場合は痛みがひどかったりする場合はしなかったりします。
長く積極的に治療をし、その副作用などに苦しめられている患者さんを担当していてかなり容態が悪くなってしまっているな、と思いながらシフトを終え、次の日に仕事に戻ってきたら Comfort Care になっていた、ということは結構ありました。そういう状況の中で不思議と「まだできることがあるはず!」という反応するナースは少なく、「よく頑張りましたね。できるだけ楽になりましょうね。」という思いでケアに臨んでいました。他の病棟ではあまり慣れないケアだったようで、Comfort Care になった患者さんは大抵私の働く病棟に転送されてきました。
橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー
アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。
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日本でも今では緩和ケアやホスピスなどといった医療サービスが普及してきていると思いますが、アメリカでも Palliative Care と言って、病気の治療をしていく中で痛みや苦しみを軽減させる努力が医師や看護師からなるチームでされています。病気の状態などによって Palliative Care の形はいろいろあります。その中で今回お話するのは院内で行われる ”Comfort Care” というものです。
私はアメリカの病院では Oncology Unit (がん専門病棟)で働いていたのですが、たまに担当するのがこの ”Comfort Care” とされた患者さんでした。入院中いろいろな手を尽くしたけれども容態が悪化する一方の患者さんが(もしくはその家族が)医師としっかり話をした結果、この Comfort Care を選ぶこともありました。これは名前の通り、患者さんをできるだけ comfortable にして死を迎えてもらおうというケアでした。