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【海外の看護現場から】イギリスで働いてみて感じた日本との違い

【海外の看護現場から】

英語を学んでいる皆さんの中には、いつか海外で働いてみたいと考えている方もいらっしゃるでしょうか?医療システムは違っても医学の知識や診療の基本は世界中同じなので、どこでも働けるのが医療者の素晴らしいところです。でも、実際に長く働いてみると、日本とはだいぶ違うな、と思うことが多々あります。

一番の違いは、イギリスの看護師資格は一生ものではない、ということです。つまり、定期的に更新しないと看護師として働けなくなってしまうのです。看護師として働く間は、Nursing and Midwifery Council(NMC)という登録機関に毎年登録料を払います。年々高くなっていますが、今は120ポンド(2020年6月現在 約16,000円)です。更に、3年毎に登録を見直すrevalidation(登録の再検証)というものがあり、3年間で450時間を看護師として働いたということを申告しなくてはなりません。それに加えて、患者さんからの評価や事例から学んだ内容をまとめたレポートに、上司の承認のサインをもらってから提出しなければならないのです。それらが受理されて、やっと看護師として働き続けることができます。もしこれらを期日までに行わないと、登録は休眠され、再登録には病院で半年前後の実習が必要になります。定年を迎え看護師として働くことを辞めるときは、登録を抹消する旨をNMCに報告します。

更新制は大変ですが、自分の働きたい診療科を自分で選べるのはイギリスの良いところだと思います。日本の大きな病院だと、せっかく希望の診療科に配属されたのに、2~3年後には違う診療科に異動なんてことがよくありますよね。イギリスでは求人は診療科ごとに出され、面接もだいたい病棟ごとに行われます。面接に受かって就職できれば、その診療科がなくならない限り(たまに病院統合などでなくなることがあるのです)同じ診療科でずっと働き続けることができるので、自分のやりたい専門分野を極めることができます。

更に、職場の多国籍化は日本の比ではありません。私の働いていた病棟では、イギリス人(イギリスで生まれ育った人/白人以外も含む)の看護師は2割くらいでした。アフリカ人が2割、フィリピン人2割、インド/バングラデシュ人が2割、他のヨーロッパ人が1割、私を含めたその他が1割といったところでした。働いている病院のエリアによりますが、特にロンドンは外国人ナースが多いと思います。患者さんも多国籍なので、英語を話せない患者さんに対応できて非常に便利なのですが、それゆえのルールもあります。それは、勤務中にスタッフ同士が母国語で話すことは基本的に禁止というものです。これは、他のスタッフが仲間外れにされたと感じたり、「もしかして自分のことを噂しているのでは?」と思うのを防ぐためです。幸い(?)、私の職場には他に日本人がいなかったので、その心配とは無縁でした。

そして、イギリスで働いて一番嬉しかったことは、有給休暇をすべて消化できることです。逆に、消化しないと上司から注意されます。一度に多くのスタッフが休めないというのは世界共通ですが、希望を入れて人数的に問題なければ、必ず休めます。外国人ナースが多いので、自国に帰るために3~4週間の休みは当たり前。1年間の休みを貯めておき、一気に1か月半自国に帰る強者もいます。

外国で働いていると、制度や風習の違いもあり大変なことが多いです。それでも、休みが多いことでリフレッシュでき、何とか頑張ることが出来たのだと思います。

ブログ執筆者

吉濱 いほり 英国・日本看護師、英国看護学士

日本で看護短期大学を卒業後、病棟勤務を経て渡英。Supervised Practice Program (現在のOversea Nurses’ Program)を履修し、英国看護師としてNursing and Midwifery Councilに登録。脳神経外科・内科病棟に勤務しながら、City, University of Londonにて看護学士(BSc Hons)を取得。National Health Serviceの病院で14年間勤務後、 2019年に帰国。