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【海外の看護現場から】病棟の「ミニ」薬局

 今回はアメリカの病院ならどこでも使われている、「自動薬ディスペンサー」のお話をいたします。この機械はどの病院でも同じように使われているわけではないのですが、何らかの形では使われています。

 私の働いていた病院では、処方された薬を患者さんごとに仕分けする “med cart” (薬のカート)というものが使われていて、中の薬は24時間毎に院内の薬局から届けられていました。各病棟に何台か廊下に設置され、パスコードを入れるとカチャッと開き、すべての患者さんの薬にアクセスできるようになっています。このカートには患者さんごとのカセット以外に病棟でよく使われるアルコール綿や様々なサイズのシリンジと針も入っていました。


これとは別に自動薬ディスペンサーというものが “med room”(鍵がかかっている薬用の部屋)にあり、その病棟でよく使われる薬、頓服用の薬、また麻薬などが入っていて、必要な時にその機械で「引き出す」システムになっています。

例えば受け持ちの患者さんが痛みを訴えてきて、頓服用に処方された点滴用のモルヒネがあるとします。そうしますと、そのディスペンサーに行ってまず自分のパスコードを入れると自分の受け持ち患者のリストが出てきます。その中から薬をあげようとしている患者さんを選びます。そうしますとその患者さんに処方されている薬のリストが出てきます。その中からモルヒネのところをピッと押しますと、ガチャっと引き出しが開き、モルヒネを取り出すことができます。ちなみにこのモルヒネは点滴用という設定ですが、すでに決まった量が入っている長細いガラスの容器に入っています。処方が1回2mgだとしたら2mgを選択すれば2mg入った容器の引き出しが開きます。そして麻薬に関してはただ取り出すだけではなく、ちゃんと本数のカウントをしなければいけません。これは麻薬管理のためです。医療用麻薬の乱用を阻止するために導入されたようです。安全に管理しながら迅速に患者さんの対応をするために規定されたアクセスシステムなのだと思います。

ブログ執筆者

橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー

アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。

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