病院食が美味しくない、というのは私の働いていた病院だけでないと思いますが、それが「当たり前」のようにされていて美味しくないのは仕方ない、というように受け入れられていたように思います。私がここで話しているのは普通食のことで、食事の内容や形状に特別制限のない病院食のことです。朝食は、トーストやベーグルに卵、ソーセージやベーコンなどの肉類、そしてヨーグルトにコーヒーかお茶、といったもので、言葉を並べて想像していただくと特に問題なさそうに思いますが、実際にトレイに乗ったお皿にかかってる蓋を開けると「ん?これなんだ?」と思うほどミステリアスなものだったりします。昼食や夕食はパスタやライスが炭水化物になるのですが、パスタは大抵茹ですぎてあり、ライスは話になりません。ライスは日本のお米を基準にしてはいけないのでしょうが、パサパサなのか水が多すぎるのか分からないように調理されていたりました。野菜に関してはサラダになっている場合は原型をとどめていますが、調理されてしまうと何だかわからない、グチャグチャの副菜として添えられています。ここまでくると、わざとまずくしているのか?と突っ込みたくなるくらいです。
患者さんが退院するときに入院経験のアンケートが渡されるのですが、大体一番ひどいコメントが書いてあるのが「食事」についてのところで、そのため病院全体の評価が落ちている感じでした。実はこのアンケートの結果は病院が政府のお金をもらうときに考慮されるものらしく、この食事の項目も患者ケアの大事な要素として含まれているとのことでした。ですが、一方に改善が見られないのは一体なぜなのか、不思議でたまりません。
橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー
アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。
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病院食と聞いて「グルメ」を思い浮かぶ人はなかなかいないと思いますが、アメリカの病院で色々な病院食をみてきた私が日本の病院に入院したとき、この「病院食」に感動したことを思い出します。手術をしたこともあって、術直後は大したものは食べられませんでしたが、普通食になってからは毎回「次は何かな〜?」と楽しみにしていました。グルメとまではいかないものの、栄養バランスだけでなく、色合いや食感なども配慮されているんだな、と感じました。