それでは医療の現場で患者さんにはどう自己紹介をしたらよいのでしょうか。「今日の担当看護師の◯◯です。」と、英語でどう言えばいいのですか、と聞かれることがあるのですが、一般的にはファーストネームを使って、”Hi, my name is Miwa, and I’m going to be your nurse today.”といった感じになります。
それでは相手を呼ぶときにはどうすればいいかと言いますと、とりあえずはラストネームで呼ぶのが無難です。例えば患者さんの名前がSteven Johnsonだとすると、まずはMr. Johnsonと呼ぶのがいいでしょう。そうしてから患者さん側から”Please call me Steve.” と言われましたらその時点でファーストネームで呼べばいいのです。女性の場合は未婚の場合はMiss、既婚の場合はMrs.と習ったかと思いますが、どちらかわからない場合も多いと思いますので、Ms.と言っておけば間違いないでしょう。
私がアメリカの病院で働いていたときに同僚は患者さんのことを結構いきなりファーストネームで呼んだりしている人もいましたが、それでも患者さん側から’”Please call me Mr.~.” と直されていることはありませんでした。私は基本的にはまずはラストネームで、と思ってやっていたのですが、ある患者さんのことを”Mr. ◯◯”と呼んでいましたら、”Mr. ◯◯ was my father.”と言われました。その患者さんの中ではMr. ◯◯と聞くと、自分の父親のことを言っているように思えて違和感がある、とのことだったのです。なので、ファーストネームで呼んでね、と言われたことを思い出します。
英語を勉強したときに一番最初に習ったのではないかとも言えるこのフレーズ。普通の場で使うのはもちろんOKですが、医療現場で使うときには要注意。なぜなら、”Nice to meet you”を直訳してみると、「お会いできてうれしいです。」ということになります。気分悪くて医療機関にかかったり、病気で入院したりしている人が「会えてうれしい」と言われて不快に思う人もいるからです。と言いましても、そのように取る人は少数派かもしれません。多くの人はあまりそこまで考えず、自然と会ったことのない人に対しては”Nice to meet you.”と出てきますので、そう言われたらもちろん”Nice to meet you, too.”と返しても問題ありません。明らかに苦しそうにしている患者さんとの初対面の挨拶をするときはちょっと気をつけてみましょうね、というポイントでした!
橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー
アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。
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日本では、一般的に人に初めて会うときに自分が名乗るときは苗字(ラストネーム)を使いますよね?私の場合でしたら「橋本です。」という感じで。これを英語に直訳すると”I’m Hashimoto.”ということになります。これは決して間違いではないのですが、英語ネイティブの人でしたら違和感を感じることでしょう。英語を習うときに使われる表現は”My name is ~. (私の名前は〜です。)”でしたよね?それでは “My name is Hashimoto.” といえばいいか、というと、そうでもないのです。といいますのも、欧米の英語圏では自己紹介をするとき多くの場でファーストネームが使われるのが一般的だからです。もちろん、正式な場ではファーストネームだけではカジュアルすぎることになりますが、そんな場でも苗字だけで自己紹介をすることはまずありません。その場合はフルネームで名乗ります。(My name is Miwa Hashimoto.)