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手洗い・うがいは日本限定の常識? Hand Washing and Gargling??

日本では当たり前の習慣となっている「手洗い・うがい」ですが、アメリカなどの欧米諸国では聞きなれない習慣です。公衆に向けても、医療従事者の中でも、手洗いの方は強調されますが、水道水でうがいをする、という行動は定着していません。もちろんうがいをする(gargle)、という行為は存在します。dictionary.comに掲載されている医学的定義は:

To force exhaled air through a liquid held in the back of the mouth, with the head tilted back, in order to cleanse or medicate the mouth or throat.*

とあります。英語圏の方達でも大抵の人はこの意味はわかるでしょう。ただ、「外から入ってきたときは手洗い・うがい」という習慣は(私の経験上アメリカでは、としか言えませんが)まったく浸透していないどころか、家に帰ってうがいをしている日本人を見たら不思議に思うことでしょう。私も長い間アメリカで生活をした後に日本に帰ってきて久しぶりに「手洗い・うがい」と聞いてそんな習慣あったな、と思ったほどです。

これは「うがい=風邪予防」という考えがもともと存在しないということもありますが、その結果、2005年に日本の研究者らがAmerican Journal of Preventive Medicineで発表した「うがいの風邪予防効果」を主張する論文もアメリカなどでの専門家の間で受け入れられていないのが現状のようです。現に、”gargling to prevent colds”と英語でネット検索をしてもいろいろなサイトや記事が出てきますが、内容を読んでみますと、”Japanese old wives’ tale (日本での迷信)”などと書いてあったり、「今のところか証明されていません」と書かれています。

日本では水道水でうがいをする以外にも薬局に行けば多くのうがい薬を手に入れることができますが、アメリカではまず見かけることはありません。唯一うがいを取り入れた商品といえばmouthwash(口内洗浄液)です。Mouthwashは一般的には歯磨きのあとなどに使う商品でして、歯磨きでは取り除くことのできなかった菌を除去するのが目的で使われます。それ以外にも口臭予防効果をうたっています。うがいをする前に口の中をすすいで、最後にうがいをしてから吐き出す、といったように使う人が多いようです。

それ以外にうがいをする場面といえば、すでに風邪をひいてしまっていて、咽頭痛があるときに、”salt water gargle (塩水うがい)” がよく勧められます。これは日本でも使われている方法ですね。

このブログエントリーの意図はうがいをすることが効果的かそうではないか、を問うものではなく、その人が育った文化によっては「常識」がかなり違ってくるということです。日本をベースに看護師として活躍されている方の場合は、外国人患者さんを受け持ったときにその点について考慮ができ、その「当たり前」を丁寧に説明することができる、また日本の常識が理解されていないことに気が付ける、ということが重要だと思います。また、海外で看護師として活躍されたい方の場合はその文化の違いを目の当たりにすることが日常茶飯事になると思いますが、その都度どう乗り越えていって異文化と共存できるようになるか、というところがサバイバルの分かれ目になってくるのではないかと思います。

*gargle. (n.d.). The American Heritage® Science Dictionary. Retrieved July 13, 2016 from Dictionary.com website https://www.dictionary.com/browse/gargle

ブログ執筆者

橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー

アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。