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姫路赤十字看護専門学校<学校インタビュー>
~学生のモチベーションアップを実現するために「英語」授業を「看護英語」授業へ~

IPECが推進する看護英語教育は、「日本の医療現場において基本的な看護業務を英語で運用できる看護師を養成する」ことを目的としています。これからの日本の医療現場で活躍する看護師を養成する看護学校の代表の方々に看護教育の中の「看護英語教育」についてお話を伺いました。

スペシャルインタビュー

姫路赤十字看護専門学校 副学校長 坂本 佳代子様

IPEC: 御校の沿革、看護教育の理念についてお聞かせください。

坂本先生: 本校は1909年に日本赤十字社9番目の看護師養成所として創設されました。今年は創設115年となります。卒業生は、旧制度で1,878名、新制度になって2,105名となっています。そのうち、ナイチンゲール記章受章者8名を輩出しており、直近では、2023年に姫路赤十字病院の看護副部長、高原美貴さんが第49回フローレンス・ナイチンゲール記章を受章しています。受章者は11か国17回の国際救援活動の経験の中で、まず、現地のニーズを把握するための情報収集とアセスメントから始め、現地の人々の文化や価値観を尊重しながら持続可能な支援体制を構築するための調整や交渉に長けている点で評価を受けました。
日本赤十字社は、赤十字の理念である「人道」を基盤とし、いかなる状況下でも人々の生命と健康を守り、苦痛を予防・軽減し、尊厳を確保するため、国内外でさまざまな活動を展開しています。看護実践においては、人々の生活の質向上のために、倫理観に基づき、多職種との協働の中で、専門性と自律性を発揮することが求められます。
本校は、この赤十字の理念を基盤とし、人々が生きることを支えるために、自ら学び、看護を創造する豊かな人間性を備えた看護実践者の育成を目指しています。

IPEC: 御校がお考えになる看護師像について教えてください。

坂本先生: 人道の目的は、苦痛を予防し軽減すること、生命と健康を守ること、個人の尊重を確保することであり、その人道を看護実践で具現化して活動できる看護師の育成を目指しています。看護は自分の身体を使って、相手に働きかける職業です。思っているだけでなく、実際に援助することが求められます。

IPEC: 御校の看護教育の特徴を教えてください。

坂本先生: 本校では、体験から学ぶことを大切にしています。また、GRIT理論を用いて良いGRITの体験を繰り返す中で「やり抜く力」を養い、非認知能力を鍛え、認知能力を高められる教育環境に働きかけたいと考えます。様々な体験を取り入れ、実際に感じ考え、同じ志を持つ仲間と交流して成長してほしいと願っています。
本校には入学前教育プログラムがあり、入学前に高校の学習の復習と共に、論理的な文章の書き方を学びます。これは2か月のプログラムで、入学予定者は12月から3月末までに終了します。紙教材もありますが、アプリでも学習ができ、提出期限までに課題を提出します。1日20分の課題をやっていくことで、入学前から「やり切る力」を育成していきます。やる気を持った人たち同士で励まし合うことで自分も頑張れる。それが結果につながり、より頑張れるという良い環境を作り出すことが狙いです。
また、このような環境を支援するために、コロナ禍がきっかけで始めたことですが、学年を縦割りにした小グループを作り、看護技術の練習や体験したことの伝達、相談などの機会を設けています。これは卒業後にもサポートを行ってくれることにもつながっています。このように助け合い、実際に行動することで見えてくるものがあると思います。「まずやってみる!」を実践することで学力等の認知能力を高めることにも繋がると考えております。実際に、単語の習得について教師がどうやって行くか問いかけた時に、学生の方から「単語アプリを使って1日2単語覚えるように進めていきます」と提案がありました。

IPEC: 御校の看護英語授業についてお聞かせください。

坂本先生:
①英語授業への取り組みや工夫
災害救護活動や国際救援活動に興味を持ち入学を志望する学生が多く、国際救援活動を視野に入れながらですが、身近に出会う外国人の方々に声をかけることができる看護師を目指しています。
1年生の「外国語Ⅰ」、2年生の「外国語Ⅱ」,3年生の「異文化論、グローバルヘルス」のなかで、看護英会話に馴染み、体験を通して対話のできる看護師を目指しています。担当は、ネイティブ講師でロールプレイも取り入れ、楽しく学ぶことを目標にしています。
3年生は異文化論と共に国際看護を学び、学んだことを英語での1分間のスピーチで発表することをゴールとしています。

②IPEC看護英語テキストおよびオンラインプログラムを使った英語授業の感想
毎週の計画的な予習・復習が可能となりました。オンラインプログラムで各自のペースで学び始めています。実写動画を自宅での予習・復習、また授業でも活用しています。CD音声を専用サイトから聞くことができるのも良かったです。
将来的には学生自身が看護師と患者のダイアログを作ってロールプレイができればと考えています。
また、学校側へも専用サイトの使い方について、電話や実際の画面を見ながらの説明などのサポートがありました。

③学生の皆様の英語学習への意欲
授業はロールプレイ等を楽しみ、アクティブに学んでいます。また、チャプターごとのテストがあるので、朝の始業前の時間など試験勉強をみんなとしている姿を見かけるようになりました。来年の検定試験に向けても計画的に取り組む姿勢が見られます。

IPEC: TOPEC看護英語試験を採用された理由と、試験結果を学校の中でどのように活用されているのかをお聞かせください。

坂本先生:
①この試験の採用を決めた理由
日本医学英語検定試験に挑戦することを目標にしておりましたが、学術的であり、その前に看護英会話として身近に学び、習得することを目標に切り替えました。オンラインプログラムの活用は個々のペースで活用可能と考えました。また、検定試験により目標に向かってクラスで学ぶ姿勢を大切にできると考えて導入しました
まだ、1年目で軌道修正した変則的なカリキュラム内容ですので、今年の1年生が来年の9月に検定試験を受ける頃には一連のカリキュラムを終了した学生の教育効果を判定する評価ができると考えています。

②試験結果の活用方法
今年度の学生の試験結果を踏まえ、学生の傾向として強化する点(リーディング・ライティング)を共有し、普段の学習に活かすよう動機づけとして伝えました。
今後の教育機会としては、3年生には異文化論の授業として半日イングリッシュブートキャンプへ参加することにより、集中させて会話するカリキュラムとなるよう検討していきたいと考えています。最終的にはインターナショナルスクール(保育園)で英語でアクティビティのボランティアに参加することをゴールと考えています。また、TOPEC看護英語試験に合格した卒業生が後輩育成の支援者となるようサポート体制を強固にしていきたいと思います。

IPEC: 卒業生は海外で人道支援をしたいと考えている方は多いのでしょうか。

坂本先生: 日本で5年の臨床経験の後、東京・愛知・大阪・和歌山・熊本にある国際医療救援拠点病院での基礎研修に参加することになります。卒業生の中には国際医療救援拠点病院で経験を積み、国際救援活動に参加している人達もいます。

入学前から始まる学生への手厚いサポートを始め、「赤十字」の理念を背負う看護師の育成に信念をもって取り組まれていることに感銘を受けました。
IPECも微力ながら引き続きお手伝いをさせていただければと思います。
本日は取材にご協力いただきどうもありがとうございました。

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