IPECが推進する看護英語教育は、「日本の医療現場において基本的な看護業務を英語で運用できる看護師を養成する」ことを目的としています。これからの日本の医療現場で活躍する看護師を養成する看護学校の代表の方々に看護教育の中の「看護英語教育」についてお話を伺いました。
赤堀先生: 本校は1968年の創立で今年(2021年度)は53年目になり、かなり歴史のある看護学校になります。2017年 2月に文部科学大臣から職業実践専門課程の認定を受けました。「実践力の高い看護師を育成する」ために、学生ひとりひとりを尊重し、きめ細やかな質の高い看護教育を目指しています。
「看護への情熱が磨かれていく」をスローガンとして掲げ、全教員熱意を持って日々取り組んでいます。
赤堀先生: 「実践力」を強化しております。全ての科目において、座って授業を受けるだけではなくそれを使ってみる、という「演習」に特に力を入れています。それに伴って、ICTの積極的活用と、シミュレーションのための様々な機械や人形を豊富にそろえているというのが特徴だと思います。
赤堀先生: 全教員統一して「看護をあきらめない」「常に情熱を持って患者さんのことを考える」という看護師像を目指して教育しています。
赤堀先生:本校は、看護師になりたい、という気持ちを持ってみんな入学していますので、必要性を感じていろいろ練習したりすることには学生は抵抗はないのです。
ただ近年、生活体験が乏しい(例えば、雑巾を絞ったことがない、箒を扱ったことがない、食器を洗ったことがないから洗った後のスポンジをどう処理したらいいかわからない、など)学生がちょっと増えてきているかな、という印象で、そこから技術を積み上げていくということが、ちょっと苦労している点になります。
赤堀先生: 具嶋先生の影響はとても大きいです。具嶋先生から私達も教育方法について学ぶことがすごく多いと感じています。英語の授業に関しては、①フレーズを聞いて意味を理解 ⇒ ②読む ⇒ ③話す ⇒ ④書く という順序で反復することを習慣化している、と具嶋先生はおっしゃっていまして、(IPECのテキストは)その順序で学べるテキストであることをすごく熱弁されていました。
看護技術も、インプットで終わらず必ずアウトプットしていくことによって定着する、と言われていますので、英語に限らず、どの分野でもこのインプット・アウトプットの流れというのは大事なのだなと改めて感じ、ホームルーム等を使って、私達英語担当ではない教員から、「全ての学習スタイルの確立に役立つ」ということを学生に伝えています。
英語の授業ですけれども、単純に単語を覚えるだけの授業ではない、ということは言い続けています。
また、具嶋先生は座学だけではなく、バイタルサインや薬の内服の説明の場面などのロールプレイ時に、学生が実際に白衣を着て演習をする、という実践的な授業もしてくださっています。これにより、学生は「座ってだったら言えたけど、身振り手振りがつくと何も言えなかった」という自分に気づき、「全然これじゃ練習が足りない」という次のステップに行けるのです。そういう仕掛けを具嶋先生は授業の中に取り入れてくださっているのです。
また、TOPEC看護英語試験を導入いたしまして、当校の学生はWritingのスキルが弱い、ということが傾向としてわかったので、弱点強化のための対策を今回は講じることができたかな、と思います。学生の意欲はかなり高まったと思います。
赤堀先生: はい。それも1点としてあります。もうひとつは、しっかりとした検定試験なので履歴書に書ける、というところです。学生にとっては就職活動の一つの強みになるという点も、非常に大きかったです。
赤堀先生: 2021年度から全学生を対象にしたので本格的な活用は今年度から、と考えています。ただ、一覧で集計してみたところ、基本的な学習習慣がついていない学生は、やはり(点数が)取れないです。基礎学力が身についたかどうかを、今後検討する資料になるのではないか、と考えています。
赤堀先生: 看護師の国家試験はどんな状況でも待ってくれないので、試験に向けての学習が中断されない、ということが非常に重要でした。早急にオンラインの環境を整え、学生、ご家族の協力を得ながら、オンラインでの授業の継続を行いました。英語に関しては、最初は戸惑いましたが、3回目くらいからは「聞く・読む・話す・書く」のサイクルはオンラインでも変わらず実践することができました。初めは、Wifi環境によっては音源が途中で切れてしまうとか、CDプレイヤーを持っていない学生が多くいました。最初の「聞く」ということができないと「聞く・読む・話す・書く」のサイクルが途絶えてしまうので、具嶋先生が画面越しに何度も繰り返し発声をして、ミュートを解除して言ってもらう、というところを丁寧に行っていました。その後、貴協会にリスニング音源聴取サービスを依頼して、早急に対応していただきましたので、非常に助かりました。
赤堀先生: オンラインでの会話のやり取りは、言葉と聞こえてくる音だけのコミュニケーションになります。私達のように英語があまりできない人間にとっては、その時の話す雰囲気やジェスチャーなどから、こんなことをしゃべっているのかな?ということを感じ取る、そういう「感じる力」がとても大事だと思っています。そしてそういった力は看護の場面でも非常に重要です。私達としてはオンラインより、画面越しではないface-to -faceのリアルな対面の中で会話をする機会を増やしていきたい、という思いがありまして、ネイティブの先生を招いたり、そういう場所に研修に行くなど、どちらかと言うとそちらを取り入れていきたいと考えております。
教材への要望としては、ICTが加速されているので、教材自体を電子化できるといいかな、と思います。
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