前回に引き続き、私が海外で看護師として働く前に、日本で行なった英語学習法をご紹介します。
私は学生時代からいつか海外で働きたいと考えていました。そこで、看護師2年目になり、少し仕事に余裕ができた頃、少人数制の英会話クラスに通い始めました。英語ネイティブの先生1人に対して初級~中級レベルの生徒3~4人のクラスで、英会話に加えて、英語記事の読み解きなどを学びました。ここで、先生が提案してくれた任意の宿題の一つが、「ジャーナル・ライティング(Journal Writing)」でした。ジャーナルは、英語で「日誌/日記」「新聞」「議事録」「定期刊行物」などの意味があり、The New England Journal of Medicineというアメリカの総合医学雑誌の名称などにも使われています。ここでいうジャーナル・ライティングは、「日誌/日記を書く」という意味になります。
私は「ジャーナル」と聞いてあまりピンときませんでしたが、先生が次のように説明してくれました。
「ジャーナルは、今日一日を振り返って、何をしたか、誰に会ったか、どんなものを見たり食べたりしたかなど、その日にあったことを書く。できるだけ短めの文章で、難しい単語やフレーズは無理に使わなくていい。毎日でなく書きたいときだけ、1回1ページで十分。大事なことは、最初に日本語で文章を作って英訳するのではなく、最初から最後まで英語だけで考えて書くこと!」
はじめのうちは日本語での下書きが必要でしたが、徐々に直接英語で書ける回数が増えていきました。また、自分の書きたいことや、先生と共有したいことだけ書けばいいので、交換日記をしているような気分で、書くのがどんどん楽しくなりました。週に2~3回のライティングと添削の復習を2年ほど続けた結果、簡単な文章ならあまり悩まず英語で書けるようになり、ボキャブラリーもだいぶ増えました。その後、TOEFLやカナダの学校で長文のエッセー(essay:小論文)を書く機会がありましたが、その際に必要となる文章力の下地にもなったと思います。
ジャーナル・ライティングには、こうした英語力アップのほかにも大きなメリットがありました。それは、自分自身や周囲に対する理解が深まることです。要点が明確で自然な流れのジャーナルを書くためには、自分の考えや言いたいことを頭の中で整理する必要があり、その過程で自分の傾向や性質に気づいたり内省したりと、自己理解が進みます。また、日頃からジャーナルのネタを探すようになるので、自分の周囲で起きていることや周りの人の言動にもっと気を配るようになり、今まで気づかなかったことにいろいろ気づくようになりました。こうした得たものは、看護師として働くうえでもとても役に立ったと思います。
自分で実際に使った単語は、ただ読むよりもずっと暗記しやすいと言われていますので、語彙力アップにもオススメです。また、紙とペンさえあればいつでもどこでもできる手軽さも、ジャーナル・ライティングの良いところです。自分に合った学習法をお探しの方には、ぜひ一度チャレンジいただければと思います。
久々宇 悦子(カナダ看護師、日本看護師・保健師)
日本で看護大学卒業後、国内で病棟勤務を経てカナダ渡航。独学でカナダ看護師試験(Canadian RN Exam)に合格、看護師免許取得。就労ビザ取得後、トロント市内の地域基幹病院に入職し、外傷・脳神経外科ICUにて看護師として2年間勤務。帰国後、 看護職能団体にて看護労働や学会事業等に従事。
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