以前のコラムでもアメリカでの医療費の「異常な高さ」についてお話したと思いますが、今回は検査費用に焦点を当ててお話をしたいと思います。アメリカでは破産申請に追い込まれる一番の理由が医療費によるものだと言われています。
アメリカの病院で働いている時はそれほど医療費の高さを意識することはありませんでしたが、何度か自分が医療機関にかかり、後で送られて来た請求書を見て「高いな」と思ったことはありました。
一般に、アメリカの医療機関では、診察・治療・検査を受けたその日に患者本人が支払いをすることはありません。医療機関はまず医療保険会社に費用を請求し、その後患者の保険のプランに応じて請求書が発行されます。保険会社が全額支払う場合は、医療機関からの請求額と保険会社が支払った額が記載され、全額は支払われない場合は、患者の支払う額が請求書として送られてきます。
私が病院から提供されていた保険のプランでは年1回の「定期検診」のようなものを受けることができたのですが、これはかかりつけの医者へ行き診察を受けた後、採血や他の検査などは他の機関に行く必要がありました。採血は採血だけをしている医療機関へ行きました。
費用は保険のプランで賄われるはずだったのですが、一度手違いで保険会社から支払いがなく、採血機関から請求書が届いたことがありました。その額は(一般的な検査項目で)100ドルを超えていました。
保険会社へ電話を入れ、結局自費のコストはなかったのですが、そこで医療費の高さに気づかされました。私の採血の検査項目は簡易なものでしたが、これ以上の項目の採血を入院患者さんは毎日していると考えると、それだけでもすごいコストになるのだな、と思いました。
もう一つ覚えているエピソードで、腹部エコーがあります。これも私自身が受けた検査なのですが、このときは少し自己負担があったように覚えています。
はっきり覚えているのは検査にかかった全費用で、これが2000ドルを超えていました。これは日本円にして20万円以上ですよ!確か自己負担額が1割で、200ドルを支払ったと思います。それでも「あ〜、本当に高いんだな〜」と軽く考えていました。
本当に身にしみるように「異常に高い!」と思ったのは日本に帰国してMRI検査を受けた時でした。医師にMRIをやりましょう、と言われた時にまず思ったのは、「いくらするのだろう…」でした。
無事検査を終え、さて自動精算機の前に立った時には結構緊張していましたが、支払額が画面に出た時に「え?!」と驚きました。支払額は6000円だったのです。3割負担ということを考えて、全費用が2万円となりますよね。これがアメリカだったらその何倍になっていたのだろうと思うとゾッとしました。
橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー
アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。
看護学生・現役看護師の方々からの強いご要望にお応えして、実践的な英語コミュニケーション力を習得できる 「看護英語テキスト」を作成しました。
看護・医療系学校の英語授業、医療機関の英語研修でご活用いただいております
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