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【新型コロナウイルスへの対応】軽症時の問診が肝心

【海外の看護現場から】

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は、欧米などの一部先進国で感染者数が減少傾向にあるものの、今も世界各地で猛威を振るっています。

COVID-19は多くの場合に呼吸器症状がみられ、米国CDC(疾病予防管理センター)は、その代表的な症状として、cough(咳)、shortness of breath or difficulty breathing(息切れや呼吸困難)、fever(発熱)、chills(悪寒)などを挙げています*1

こうした症状は比較的軽度で経過することも多く、中には無症状の方もいます。しかし最近では軽症者が短時間で急変するケースもみられ、その対応の難しさが浮き彫りになっています。

急変を未然に防ぎ、適切に対応するためには、患者さんの症状や状態を把握する必要がありますが、日本語を話せない患者さんの場合、英語でどのように問診すればよいでしょうか。軽症だと一見わかりづらい、息切れや胸苦しさなどの自覚症状は、特に確認したい点かと思います。例えば・・・

問診例

● Nurse :Do you have shortness of breath?  息苦しさはありますか?
● Patient:I sometimes feel short of breath while lying down.  横になると苦しくなることがあります。
● Nurse :Do you have a pain or pressure in your chest?  胸に痛みや圧迫感はありますか?
● Patient:Yes, at times, I feel a pain in my chest.  はい、ときどき胸が痛みます。

症状の有無を確認したいときは、「Do you have +(名詞)」、または「Do you feel +(形容詞)」の形で聞くことができます。

例外的に、pain(痛み)の有無を聞く場合、「Do you feel a pain?」のように「feel +名詞」の形で聞くことができます。もちろんfeelは、haveに置き換えることも可能です。

息苦しさや呼吸困難の表現はいろいろありますが、shortness of breath → difficulty breathing → trouble breathingの順に重症度が高くなり、trouble breathingは努力呼吸のような呼吸困難も含まれます。なお、医学用語で呼吸困難はdyspneaです。

また、COVID-19では、症状がないまま密やかに肺炎が進み、silent hypoxemia(無症状の低酸素血症)をきたす場合があります。呼吸数や脈拍、皮膚色などに加えて、oxygen saturation(酸素飽和度、SpO2)も呼吸機能をアセスメントする際に確認したい項目です。

SpO2測定時の説明例

● Nurse : I’m going to check the oxygen level in your blood using this pulse oximeter.
      パルスオキシメーターで血中の酸素のレベルを測ります。
     Could you extend your index finger?  人差し指を出していただけますか?
     Please breathe normally.  しばらくふつうに呼吸をしていてください。
     OK, your oxygen saturation is 99 percent.  酸素飽和度は99パーセントです。
● Patient: Is that normal?  それは正常ですか?
● Nurse : Yes, 96 percent or higher is normal.  はい、96パーセント以上は正常値です。

看護師として、つねに患者さんの症状や訴えに気を配り、状態の変化に対応できるよう努める必要があります。問診やバイタル測定に使える英語表現を身につけると、より多くの患者さんの状態把握に役立てられると思います。

*1:Centers for Disease Control and Prevention:Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) – Symptoms(2020年4月29日アクセス)

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/symptoms-testing/symptoms.html

出典:看護英語テキスト Nursing English in Action 第2版

ブログ執筆者

久々宇 悦子(カナダ看護師、日本看護師・保健師)

日本で看護大学卒業後、国内で病棟勤務を経てカナダ渡航。独学でカナダ看護師試験(Canadian RN Exam)に合格、看護師免許取得。就労ビザ取得後、トロント市内の地域基幹病院に入職し、外傷・脳神経外科ICUにて看護師として2年間勤務。帰国後、看護職能団体にて看護労働や学会事業等に従事。

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