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【Nursing English in Action】chapter1 初対面の対応:看護は接客業?

今回は患者さんとのコミュニケーションスキルを向上させるために多くの病院で導入されている “AIDET”というコミュニケーションツールをご紹介します。これは看護師に限らず、病院のスタッフ全員に向けた医療業界の「おもてなし」政策のようなもので、私の働いていたアメリカの病院でも使われていました。

簡単に言うと、挨拶の仕方を形式にしたようなものです。A-I-D-E-Tに沿って挨拶をしていけば患者さんとのコミュニケーションの質が良くなり、患者さんの満足度をアップさせるという狙いです。ここでは病棟で働くナースがどのようにこのツールを使うのかを説明します。

初対面の対応:看護は接客業?


まず“A”は“Acknowledge”のAで、これは「認証する」、という日本語訳になるのですが、簡単に言うと、患者さんの部屋に行ったら患者さんに向かってきちんと挨拶をする、ということになります。当たり前のことのように聞こえると思うのですが、意外とできていない人が多いようです。挨拶をする時も患者さんの目を見てするのと、何かをしながら通り過ぎるようにするのでは患者さんから見た印象が違ってくるということです。また、患者さんに面会者が来ている場合、その方たちにもきちんと挨拶をします。

“I”は “Introduce”のIで、「自己紹介をする」、ということです。これは単に自分の名前や、そのシフトの担当の看護師だということを伝えるだけでなく、勤務年数や自分の専門分野の説明なども追加します。患者さんからの信頼を得るための戦略です。もちろん経歴は同じ患者さんに毎回言うのはおかしいので、初対面の時のみに伝えます。

“D”は“Duration”のDで、時間・期間を示します。これは、「その日の予定を説明する」ということであり、例えば検査が入っている場合はそれがいつ頃になるのか、またそれがどれくらい時間がかかるものなのかを伝えます。また、医師の回診がいつ頃になるのか、なども伝えます。その情報がない場合は、情報がわかり次第再度報告に戻ることや、可能な場合は再度報告する時間も(1時間以内、など)伝えます。

“E”は“Explanation”のEで、「説明をする」ことを意味します。もし検査などが入っている場合はそれまでにどのような準備が必要なのか、検査後にどのようなことを知っておくべきかなどを詳細に説明します。

“T”は“Thank You”を指し、患者さんがその病院を選んでくれたことに感謝したり(選んで来て いるわけではない場合のほうが多いような気がしますが)、コミュニケーションに参加と協力をしてくれたことに感謝するなど、とにかく「ありがとうございます」で会話を締めくくることが良しとされています。

理論上は決して間違っていないと思うのですが、毎回うまくこの形式に当てはめながら挨拶をしていくのは現実的には難しく、うまく出来たとしてもカスタマーサービスの台詞を言わされているような感じで、私自身かなり抵抗がありました。医療もサービスを提供しているビジネスだから仕方ないのかな、と思うのですが、何か虚しいような、違うような。。。

ブログ執筆者

橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー

アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。

Nursing English in Action

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