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【海外の看護現場から】夜勤のお仕事 in アメリカ

今回はアメリカで看護師をしていたときのお話しをシェアさせていただきます。

私はアメリカのカリフォルニア州にある病院で5年間「夜勤専属」で病棟ナースとして働きました。アメリカではシフト専属で働くことが一般的ですが、稀にシフトをローテーションで回す病院もあるようです。その場合は3ヶ月ほど特定のシフトで勤務しますが、その3ヶ月が終わると違うシフトの勤務になります。日本の病院のように(一般的に)ほとんど日勤で働いて、月何回か夜勤に入る、といった勤務体制はありません。シフトの時間割もそれぞれの契約によって異なりますが、ほとんどの人の場合(病棟勤務)は以下のシフトの専属になります。

8時間勤務:
7:00~15:30 (day shift・日勤)
15:00~23:30 (evening shift・準夜勤)
23:00~7:30 (night shift・夜勤)

12時間勤務:
7:00~19:30 (day shift)
19:00~07:30 (night shift)

私は8時間勤務のナースでしたので、23:00~7:30の”night shift”でした。ちなみにこの”night shift”には別名がありまして、(業界が異なっても)夜中に働くシフトは”graveyard shift”とも呼ばれます。graveyardは「墓地」のことです。静まり返った夜の墓地のようなシーンを連想させる環境の中で働いているからでしょうか。しかしこれは現実とは程遠いような感じでした。

シフトは23時に始まり、まず受け持ちの患者さんの申し送りを前のシフトの担当看護師から受けます。私の働くOncology Unit(癌専門病棟)では、一人の看護師が受け持つ患者は4人までとなっていました。これは日勤、準夜勤、夜勤と変わらず同じでした。そして、その病院では申し送りの時は”bedside report”といって、患者さんのベッドまで行って行うことになっていたのですが、準夜勤→夜勤の申し送りの時は患者さんが起きていれば、という感じでした。患者さんの前で申し送りをしなかったとしても、必ず一緒にbedsideまで行って、safety check(安全確認)だけは行っていました。

申し送りは30分程で終え、それから患者さん一人ずつのところに回ってバイタルとアセスメントをしていきました。寝る前に痛み止めの薬が欲しい、睡眠薬をくれ、と色々な「注文」を受けながら、またバイタルやアセスメントに異常があった場合は医師に連絡をとりながら最初の1時間ほどが経っていきます。

アメリカの病院では「消灯時間」というものがないのが一般的です。夜通しで電気やテレビをつけっぱなしでいる患者さんも結構いました。(テレビのあるところは自由に観ることができて、日本の病院のように「テレビカード」を購入して観るわけではありませんでしたので。)あまり大きい音でテレビをかけていて、同じ部屋にいる患者さんからクレームが出た場合は、「少し音量を下げますね。」という感じで対応していました。

一通り患者さんのところを回ったあと、ナースステーションに戻り、”chart check”と”medication reconciliation”という作業に入ります。これは患者さんのカルテを見て、それまでの24時間までにすべての医師のオーダーが実行されたか、そしてオーダーされた薬が次の日の薬管理記録に反映されているかを確認する作業です。今では電子カルテ化されていますが、その当時はまだ手書きであったため、医師のオーダーを読んで理解することに時間がかかることが多かったです。経過記録を読みながらオーダーと照らし合せて暗号解読をしているようでした。また、その日の朝に検査・手術などがある患者さんに関しては、必要書類が揃っているか、またその他の準備が整っているかを確認することもかなり手間のかかる作業でした。

デスクワークをやっている間に、アセスメントの結果を看護記録に残す作業も同時進行しながら患者さんのチェックに回り、点滴の確認や薬の投与をしていきました。ひと段落ついたところで少し休憩を取り、戻ったころには2回目のバイタルの時間になっていたりします。Oncology unitに入院している患者さんは化学療法を受けていたり、受けた直後であることがほとんどのため、4時間ごとのバイタルチェックが必要です。夜中12時のあとは朝の4時に行うのですが、この時はほとんどの場合患者さんを起こしてバイタルを取らなければいけなかったので、起こしたついでに朝の採血や体重測定なども行いました。この採血や体重測定も毎朝やることが一般的でした。

そんなこんなで6時が回ってくると、6時の薬がある患者さんがいたり、”I&O” (intake and output)を閉じて記録しに回り、少しずつ目覚めてくる患者さんの対応をしたりしているうちに日勤の看護師たちがやってきて7時になったら申し送りが始まります。起きていれば患者さんのところへ行き、日勤の担当看護師を紹介しながら申し送りをします。まだ寝ている患者さんの場合は部屋の外で申し送りを済ませ、safety checkをして終わりになります。

日本の病院で働く看護師さんからしてみれば夜勤で4人しか受け持たないの?暇なんじゃない?と思われる方もいらっしゃるとおもいますが、もちろん日勤ほどの忙しさはないにしても、以外とやることの多いシフトでもあり、特に夜勤は看護スタッフ以外のスタッフが少ないため、看護師同士助け合いが必要となるシフトです。体位交換ひとつとっても一人ではできない「ヘビー級」の患者さんがいることが多く、2、3人を連れてやらなければいけないこともありました。チームワークが一段と求められるシフトでした。その同僚らと仕事が終わってから朝病院の近くのカフェで朝食をしてから帰っていたのが懐かしいです、、、。

今回はアメリカのとある病院での夜勤ナースのルーティーンについてお話しをさせていただきました。すべての病院でこのように働いているか、というとそうでもないと思いますが、共通するところはたくさんあると思います。ご参考までに。。。

ブログ執筆者

橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー

アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。