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【海外の看護現場から】痛みのアセスメント ~Pain Scaleの利用~

今回は “Pain Scale” についてです。

日本の医療施設でも「ペインスケール」を使った疼痛アセスメントがされているところもあるようですが、このpain scaleは、アメリカのほぼ全域のどの医療施設でも使われていると言ってもいいというほどpain assessmentのゴールドスタンダードです。アメリカの医療業界の中で Pain Management がフォーカスされるようになった90年代後半に米国疼痛学会(American Pain Society) が “pain as the fifth vital sign” という構想を打ち出し、私もnursing school に行っていたときは “Pain is the 5th vital sign.” と学びました。

今では、痛みというものはあくまでも主観的な「症状」であり、バイタルサインのように客観的に測ることのできる「兆候」ではない、という議論もあり、そこまで “Pain as the 5th vital sign” という考え方は押されていないようです。ですが、疼痛アセスメントは必ずと言っていいほどバイタルチェックとともに行われますし、看護記録の重要なパートに入っています。そして、その記録の書き方にはペインスケールを用いた数字で表されます。それでは、ペインスケールを使ってどのように痛みについて患者さんに聞くかと言いますと:

Do you have any pain (right now)?
(今)痛いところはありますか。

まずこの質問から入ります。これに対しては単純に “Yes” か “No” という答えが返ってくるのですが、”Yes” だった場合は痛みを感じている場所を訴えてくるはずです。”Yes, I have a pretty bad headache.” (「はい、結構ひどい頭痛がしています。」)などと言ったような。そしてその次に続くのがペインスケールを使った質問です:

On a scale of 0 to 10, where 0 is no pain and 10 is the worst pain you’ve ever had, where would you rate your pain right now? 0から10の間で、0が無痛で10が今までに経験したことのある一番ひどい痛みだとすると、今の痛みはどの数字ですか?

と、このような感じになります。(他にも言い方のバリエーションはありますが、基本的に言いたいことは同じです。)このような聞かれ方をして最初は戸惑う患者さんもいますが、そのうち慣れてくると、ペインスケールを聞かなくても数字で痛みを訴えてくるひともいれば、単に “What’s your pain number?” と聞くだけでいいこともあります。

そしてペインレベルを聞くだけ聞いて記録するだけにとどまっては意味がないので、その情報を使って痛み止めの薬を投薬するわけですが、ドクターによってはペインレベルを使い分けて処方している場合も多くありました。

For pain level 1-3, give ….
For pain level 4-6, give ….
For pain level over 7, give…

このように頓服薬が処方されていて、ペインアセスメントをしたときに患者さんがペインレベルが「5」だと言ったときはそのレベルに当てはまる痛み止めを投薬していました。

ここでのチャレンジ、と言いますか、よくあったことなのですが、いつ聞いてもペインレベルが7以上ある患者さんがいたり、ペインレベルが10だと訴えて鎮痛薬をお願いされ、薬を持ってその患者さんの病室に行ったら寝ていた、ということは多々ありました。それでも “Pain is what the patient says it is.” と言われていたので、それに従うしかない、という状況でした。

また、いろいろな文化背景を持つ患者さんに対応をしていますと、(もちろん個人差はありますが)痛みに対する考え方や痛みの表現にパターンが見えることもありました。日本人も含めた「東洋系」の患者さんは最低限の鎮痛薬で乗り切る、という傾向があり、それに対して「西洋系」の患者さんは、逆に体が耐えうる最大の鎮痛薬の量を求めてくることが多くありました。

「痛み」という症状は主観的であり、対応するのにとても難しいものであると思うのですが、看護業務とは切り離せないものです。患者さんと誠実に向き合ってコミュニケーションをとることによって少しでも痛みを軽減させることに貢献ができたらいいですね。

ブログ執筆者

橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー

アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。