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【海外の看護現場から】「薬の自己管理」はありえない!

 日本に帰って来て早々に、入院する機会がありました。そのときに日本とアメリカの医療現場の違いについて自分自身で経験し、さまざまな逆カルチャーショッを受けたのですが、そのひとつに薬の管理があります。私が処方された薬は確か抗生剤と痛み止めだったと思うのですが、入院中に「こちらがお薬になります。指示通りに飲んでください。」と紙の袋に入ったものをポンと渡され、正直「え?」としばらく何が起こったのか理解できませんでした。なぜなら、アメリカでは入院中に患者さんに薬を自己管理で飲んでもらう、という習慣は存在しないからです。薬は処方された(決められた)時間に1回分を看護師が取り出して患者さんのもとへ持っていき、ちゃんと飲んだかどうかまで確認します。薬を渡すだけで「飲んでおいてくださいね。」と言って部屋を去ってはいけないことになっているのです。


 また、薬を飲む時間ですが、日本のように、「食後」というよりは「◯時」といった時間指定になることがほとんどです。”Daily” (1日1回)と処方されたら「10時」、”Twice a day”(1日2回)と処方されたら「10時と22時」、”Three times a day” (1日3回)とされたら「10時、14時、22時」と指定された時間に看護師が “pass meds” (投薬・与薬)することになります。そしてこれらの時間をぴったり◯時に患者さんのところへ行けるとは限りませんので、前後30分(場合によっては1時間)の猶予時間があったりします。それを過ぎてしまうと”late”となります。

患者さんによっては1回につき何種類もの薬を飲む人も多いですし、1日を通して何回も違う時間に薬を飲む患者さんもいます。下手すれば”pass meds”しているだけで1日のシフトが終わってしまうことがあります。これを全部頭に入れて行動するのはもちろん無理ですので、Medication Administration Record (MAR)という薬の記録を用いて投薬をしています。電子カルテになる前は紙でしたので、それを持ち歩きながら薬の投与時間の合間を縫って他の看護業務をこなす感じでした。

ブログ執筆者

橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー

アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。