今も世界中で拡大を続けるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)。
この新しい感染症は、インフルエンザよりも感染力が強く、無症状でも感染させる可能性が指摘されています。そのため医療機関においては、医療従事者や患者を感染から守り、感染拡大を防止するために、すべての患者・来訪者に対しstandard precaution(スタンダードプリコーション、標準予防策)を適用するなど、感染管理の徹底が求められています。
感染症患者のケアにおいて最も効果的な感染予防策のひとつが、PPE(Personal Protective Equipment 個人防護具)の使用です。
医療現場で使われるPPEには、gown(ガウン)、mask(マスク)、face shield(フェイスシールド)、goggles(ゴーグル)、gloves(手袋)などがあります。製造メーカーによって素材や形など様々ありますが、マスクは機能性により種類がわかれています。
*“respirator”は「人工呼吸器」という意味もあり。
COVID-19は接触感染や飛沫感染するため、COVID-19感染者、または感染の疑いがある方をケアする際はmedical/surgical maskの装着、aerosol(エアロゾル)が発生するような手技(気管内吸引・挿管など)を行う際は、N95 respiratorの装着が推奨されています。
多くの医療現場で既にPPEが使用されていますが、一方で院内感染も散発的に発生しており、適切なPPEを適切な手順・タイミングで使用することが求められます。WHO(世界保健機関)や米国CDC(疾病予防管理センター)は、感染者をケアする際のPPEの使用において、PPEの着脱手順などの研修・指導を受けたうえで、正しく使用することが重要だとしています。
*”don”は「着用する」、”doff”は「脱ぐ」という意味の動詞。
そして、PPEの使用だけでは感染予防策として不十分であり、PPE着脱時も含めて正しいhand hygiene(手指衛生)を都度行うことが肝要です。
アルコール手指消毒薬の使用またはせっけんと水を使った20秒以上の手洗いによる手指衛生が推奨される。
PPEの着脱方法等の動画は、CDCや日本看護協会のホームページで無料公開されています*1*2。また、WHOはPPEの使用を含むCOVID-19に関する無料オンラインコースを開設しており、世界中で200万人以上が受講しています*3。
感染予防策には時間も労力も必要になるため、忙しい医療現場では煩わしさを感じることもあると思いますが、自分自身や大切な人々を守り、医療崩壊を防ぐためにも、適切に実施することが求められます。
*1.CDC:Using PPE
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/using-ppe.html(最終アクセス日:2020年5月26日)
*2.日本看護協会 新型コロナウイルス感染症関連情報
https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/covid_19/document/index.html(最終アクセス日:2020年5月26日)
*3.WHO:COVID-19: How to put on and remove personal protective equipment (PPE)
https://openwho.org/courses/IPC-PPE-EN(最終アクセス日:2020年5月26日)
久々宇 悦子(カナダ看護師、日本看護師・保健師)
日本で看護大学卒業後、国内で病棟勤務を経てカナダ渡航。独学でカナダ看護師試験(Canadian RN Exam)に合格、看護師免許取得。就労ビザ取得後、トロント市内の地域基幹病院に入職し、外傷・脳神経外科ICUにて看護師として2年間勤務。帰国後、看護職能団体にて看護労働や学会事業等に従事。
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