日本で看護師として働いて4年目になる頃、近い将来、海外で看護師として働くことを真剣に考え始めました。
そこで、私が実際にやってみてこれは良かった!と思える英語の学習法がいくつかありますので、今回はその1つをご紹介します。
私は高校で英語の授業が多いクラスにいたため、リーディングやライティングはよく勉強しましたが、リスニングとスピーキングはまだまだ苦手でした。そこで、まず耳を慣らそうと考え、某局の「ラジオ英会話」を使って勉強を始めました。当時はスマホもタブレットもなく、学習手段がテレビやラジオ、CD教材などに限られていました。また、交代制勤務のため、決まった時間にテレビに向かって勉強することが難しく、録画しても見ないことが続きました。そこで、ラジオ番組を録音して通勤中などに聴くのが一番無理なく、自分に合っていると気づき、1年ほど続けました。
「ラジオ英会話」は、週5日、1回15分の番組で、様々なダイアログ(ある場面の会話)を使って、会話で使われる単語やフレーズ、文法、ニュアンスなどを中心に学習します。レベル的には中学英語くらい、難しい単語は少なく、会話なので1つ1つの文章が短く、理解しやすいのが特徴です。
この番組を使って私が行ったのは、ダイアログを「聴きながら音読」をくり返して、ほぼ丸暗記してしまうことでした。ダイアログは1分くらいですが、私の場合、何十回もくり返さないと暗記できませんでした。ただ、通勤時間を活用したり、休みの日は家事をしながら聴くなど、くり返し聴く時間を確保しました。音読は、周りに人がいるときは声を出さずに口の中で読み、家では登場人物になりきって身振りをつけて楽しく読んだりしました。
後で知ったのですが、これは「shadowing(シャドーイング)」という学習法で、聞こえた英語(音)にすぐ続けて、そのままマネをして反復する方法です。音を聴きながら同時にしゃべり続けるので、コツをつかむまで少し時間がかかるかもしれません。単語を意識すると自然な発音にならないので、最初はあまり意味を考えずに、耳に入ってきた音を忠実にそのままマネするつもりでくり返します。そして、番組の解説を元に意味を咀嚼します。そのうえで、今どんな内容を話しているのか意識しながら、さらに聴く&音読を続けます。これをくり返すうちに、音と内容が同時に頭にすりこまれて、発音がきれいになるとともに、語彙力やリスニング&スピーキング能力がアップしました。また、辞書には書いていない単語や表現の微妙なニュアンスや、タイムリーな使い方も自然に覚えられます。ここで強調したいのが、「自然に」身に付くということです。
「自然に」身に付くというのは、頭を使って覚えるだけでなく、耳(聴く)、口(話す)、体(身振り)という複数の器官を使うため、短時間で効果的に「体で覚えられる」ためかと思います。その結果、覚えたフレーズは長い間記憶にとどまり、会話中にスルッと口から出るようになりました。
今でもいろいろな表現を覚えていますが、そのひとつに「I scrubbed the bathtub yesterday and now the stain is gone. (昨日浴槽をゴシゴシ洗ってシミを落とした)」というのがあります。「scrub」は「ゴシゴシ洗う」という意味で、スポンジを使って洗う場合などに使います。最近はスクラブ型のユニフォームが増えていますが、これも英語で「scrub」と言います。元々「scrub」は術衣として使われていて、「ゴシゴシ洗って消毒した手術室で着る服」という意味合いからきているそうです。
英単語やフレーズをひたすら暗記するというのは、大人になるほどハードルが高くなりますし、私自身も苦手です。語学学習はくり返しと継続が大切ですので、できるだけ楽しみながら、無理なく続けられる、自分に合った学習法を選ぶことをお勧めします。
久々宇 悦子(カナダ看護師、日本看護師・保健師)
日本で看護大学卒業後、国内で病棟勤務を経てカナダ渡航。独学でカナダ看護師試験(Canadian RN Exam)に合格、看護師免許取得。就労ビザ取得後、トロント市内の地域基幹病院に入職し、外傷・脳神経外科ICUにて看護師として2年間勤務。帰国後、看護職能団体にて看護労働や学会事業等に従事。
※「ラジオ英会話」は現在、無料アプリで1週間分がストリーミングできます。Podcast、Webの英語ニュースなど、どんどん活用しましょう!
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