例えば質問をするときはopen-ended questionを使おう、などといったポイントがあります。これはyes-no questionの反対で、「はい」か「いいえ」では答えられない質問です。こうすることによって患者さんの言葉でどのように考えているか、感じているかを聞くとこができるということです。他にはparrotingといって、おうむ返しというスキルです。患者さんが言ったことをそのまま復唱して患者さんに自分の言ったことをもう一度考えてもらい、その先を引き出すのが目的です。もちろんおうむ返しばかりしていては、「この看護師は人の話を聞いてるのか」と思われてしまうので、どのタイミングでどのスキルを使うかもコミュニケーション力向上のポイントとなります。
これはやってはけない、というものでfalse assuranceというものがあります。例えば「大丈夫ですよ」または「よくなりますよ」というようなことは気軽に言ってしまいがちですが、これはその先本当に大丈夫なのか、また本当によくなるかは誰も保証できないものなので、安易にいうものではないということです。
学校の課題で実際に患者さんとあった会話を書き出し、センテンスごとに、これはコミュニケーション・スキルのうちどれなのかを定めます。さらに、もし言ってはいけない言動があった場合はそれは代わりになんと言えばよかったか、などをも書き出して表にしたレポートを書いたことを思い出します。自分がした会話を自分で評価する作業でしたので、結構大変な思いをした覚えがあります。
橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー
アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。
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私はアメリカの看護学校で”therapeutic communication” というものを勉強しました。therapeuticは癒す力のある、または健康回復に効果的な、という意味があります。言ってみれば、「できる看護師のコミュニケーション方法」みたいなものです。これは患者さんとの会話のときにどのようなアプローチをするかを学ぶもので、単に「会話上手」とはまた違います。患者さんの内に秘める気持ちや考えなどを引き出すにはどういうことを言えばいいのか、またどのようなことは言ってはいけないのか、どのように質問をすればいいのか、など色々な方法を勉強します。