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【Nursing English in Action】Chapter3 患者のプロフィール:”Where are you from?”は意外に難しい質問?

”Where are you from?”は意外に難しい質問?

今回は、『医療現場で使える知識』というよりは、外国人と交流するときに心に留めておいて欲しいことをお話します。

“Where are you from?” – もし外国人にこの質問をされたら迷わず “I’m from Japan.”と答えられる方が多いと思いますが、意外とこの質問に即答ができない人もいます。実際に私もこの質問に即答できない1人です。”I’m from Japan, but…”と続けて”I’ve spent over half of my life in the U.S.” (日本ですが、人生半分以上アメリカに住んでいました。)と言うように「補足説明」をすることがよくあります。
私の友人の1人は日本在住のアメリカ人なのですが、この質問をしたら「日本で生まれたけど、両親はアメリカ人で、でもアメリカに住んでいたのは大学の4年間だけ・・・」という答えが返ってきました。アメリカ人であっても必ずしも「アメリカ出身」と言い切れないというような人もかなりいるのです。だからと言って、人生のほとんどを日本で過ごしてきたのだから、“I’m from Japan.”と言えるかというと、そういうわけでもないとのことでした。
また、母親はスリランカ人、父親はジンバブエ人、生まれも育ちも日本で日本の国籍を持ちながらインターナショナルスクールに通っていたため、英語レベルはネイティブ並み、そして高校卒業後、留学生としてアメリカの大学に通う知人もいます。以前に実際にあった会話の中で、やはり「出身はどこですか。」という質問には悩まされると言っていました。
医療機関を訪れる外国人が観光客であれば、この質問は簡単に答えられるかもしれません。 しかし、日本に長く住んでいる、または、日本で生まれ育ったけれど民族的に「日本人ではない」人にとっては、答えにくい質問になります。
このようなことを考えていると、「〇〇出身」というコンセプトは当たり前に存在するものではないということがわかると思います。同じ国の中でも、生まれた土地と育った土地が違えば簡単に断定できないのではないでしょうか。これがさらに国境を越えたら、「〇〇人」という自覚がなくなる人が相当数いると思います。今後もグローバル化が進み、ひとつの土地に生まれ、育ち、その土地で生涯過ごす人が減る中、断定的な「出身地」を持たない人が増えていくのではないでしょうか。
言葉が通じ合うことももちろん大事ですが、文化的な考え方の違いに対して考慮した看護ケアを提供するのも必要なのではないかと思います。


ブログ執筆者

橋本実和
(米国・日本看護師、米国看護学士)
IPEC看護英語教育アドバイザー

アメリカ・カリフォルニア州のCommunity Collegeで看護教育を経てAssociate Degree in Nursing(ADN)を取得。NCLEX-RN合格後、バークレー市内の病院のがん・血液科病棟にて病棟ナースとして5年間従事。その間にカリフォルニア州立大学にて看護学士を取得。帰国後、IPEC看護英語専任教師として活躍しながら、日本の看護師免許を取得。現在はインターナショナルスクールのスクールナースとして働きながら、IPEC看護英語教育アドバイザーを務める。

Nursing English in Action

看護学生・現役看護師の方々からの強いご要望にお応えして、実践的な英語コミュニケーション力を習得できる 「看護英語テキスト」を作成しました。

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