11/23(木・祝) に「看護英語セミナー~『Nursing English in Action』の活用法~」を開催し、11名の方々(看護師8名、薬剤師1名、教員2名)にご参加いただきました。
セミナーは3部構成で、第一部は名古屋大学大学院 医学系研究科 基礎・臨床看護学講座で教鞭を取られる山内豊明教授(医学博士・看護学博士)に「看護師・看護学生に英語教育が必要な理由」というテーマで、第二部は日本・ニュージーランド・カンボジア、3カ国で看護師として国際的に活躍されている森本博美さんに「英語が共通語」というテーマで、それぞれご講演いただきました。第三部は、IPEC看護英語専任教師の小口先生が、看護英語テキスト『Nursing English in Action』を使ったモデルレッスンを行いました。
当協会の理事でありワーキンググループの座長でもある山内先生は、日本で医師として臨床経験を積まれた後、アメリカで看護学博士の資格を取得し、現在国内外でご活躍されています。その豊富な海外体験から医療従事者、特に看護師が英語を学ぶ必要性や、日本語と英語の相違点などについて以下のように語ってくださいました。
① 患者にとって最も身近な存在である看護師が英語でコミュニケーションを取れれば、異国で病院にかかっている患者の不安感を緩和できる。
② どの国に行っても英語は基本的に通じる。
③ なぜ英語が世界共通語と成り得たか
・文法が比較的簡単
・名刺に性別が無いため他の品詞がそれに伴って変化することがない
・日本語のような助詞がない
④ 日本語と英語の違いは、単純な言葉の上での違いのみならず、地域性や歴史も反映した思考形態の違いである
・日本語は「起承転結」に重きを置き、結論が最後に来る
⇒文章間の繋がりが無い場合もある⇒論理的ではない
・英語はまず結論を先に言い「それはなぜか」という理由を述べる
⇒非常に論理的な言語
英語的な思考を学ぶことが大切。
⑤ なぜ思考過程が違うのか
・地政学的な影響が大きい(政治的に分けられた「国境」と言葉や文化の境は別)
⑥ 相手を尊重しお互いにしっかりコミュニケーションを取ることで曖昧さをなくしていく。これは、日本人同士でも同じ。
医療現場でも外国人患者を見かけることが多くなった昨今、英語を学ぶ上で非常に興味深いお話でした。
森本さんは、本テキスト『Nursing English in Action』を作成したワーキンググループのメンバーであり、日本・ニュージーランドで臨床を経験され、その後カンボジアの日系クリニックで看護師・医療通訳者としてご活躍後、今年の5月に帰国されました。現在は熊本で看護師として勤務されています。
カンボジアは、1970年代ポルポト政権下の自国民大虐殺により医療従事者のほとんどを失い、医療システムは崩壊。現在も医療水準はまだ低く、特に地方では祈祷師などの伝統医療に頼る人が多い。病院の衛生環境も整っておらず、国立病院でもネズミやゴキブリが出没するそうです。
現地の方達とのやり取りはお互いの共通語である英語が中心になるため、看護師にとって英語力は不可欠で、スキルが高いほどスタッフの中で中心的な役割を担うとのことでした。
また、現在の日本の病院の外国人患者の受け入れ状況などを円グラフでとてもわかり易く解説され、医療通訳が現場に浸透していない状況と、やはり看護師が自分の言葉で説明することの大切さがよくわかりました。
英語を話す際に日本人がしてしまいがちな間違いにも言及され、受講生も巻き込んで、とても楽しく和やかな講演となりました。
モデルレッスンでは、テキストのChapter 2「 Symptoms 症状」を取り上げました。問診の中でも「現病歴の聴取」にフォーカスしている章を学習していく中で、テキストや、CDのダイアログ(会話)をどのように活用していくか、が提示されました。
まず、体の部位や症状に関わる語彙・表現を学習し、その後、受講生の方々はグループに分かれ、学習した症状を加えていくというゲームを行いました。これは、前の人が言った症状を良く聴くこと(リスニング)、それを繰り返すこと(リピーティング)の練習です。
小口先生(左)と Margaret先生(右)
リスニング練習では、看護師と患者のダイアログを聴いて、患者の症状を確認しました。また、看護師の質問を聴き取って書くというディクテイションも行いました。最後に受講生ご自身で患者のシナリオを作り、隣の方とペアになり、看護師役・患者役を両方行う問診のロールプレイに挑戦しました。
寺坂先生
ご参加くださいました皆様、ありがとうございました!
IPECでは、今回のセミナーでいただいたご意見を参考に、今後も看護師を始めとする医療従事者の方々に、実践で使える英語を提供してまいります!
・2017年 12/9(土) 実践セミナー ★ 前回大好評でした ★
・2018年 2/18(日) 看護英語ワークショップ
・2018年 3/18(日) TOPEC 看護英語試験
*日程・内容は変更になる場合がありますので、詳細はホームページでご確認ください。