CAPとは、看護師としての能力を見る研修制度*1です。まず、IELTS 6.5*2の結果をNursing Council of New Zealandに送ると、このCAPを18か月以内に受講するよう通知が来ます。クライストチャーチ、オークランドなど5~6か所の看護専門学校での受講となり、時期・期間・受講料がそれぞれ違いますので、将来的に住みたいエリアに絞られるとよいでしょう。私は、クライストチャーチと決めていたので、そこにある看護専門学校で受講しました。
*1 2002年時点での情報
*2 現在では、IELTS は6.5→7.0に変更されています(2013年)。
【CAPの内容】
Christchurch Polytechnic Institution Technology(CPIT:クライストチャーチ専門学校)の場合
・研修期間:9週間*(月~金:9:00~17:00 *実習先ではプリセプターと同じシフト勤務)
・プログラムの内容: ①看護理論:3週間 ②実習:6週間
①看護理論 | ・マオリ族の歴史・文化の理解 ・看護師法の講義・テスト ・ニュージーランドの病院のシステム ・グループワーク・発表 ・個人の発表 ・履歴書の作成方法 など |
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②実習 | ・配属先は経歴で多少考慮あり。 ・一人1~2ヶ所の病棟実習 ・プリセプターによる指導。 ・将来の就職先となる可能性あり |
*研修期間は現在(2013年時点)6~8週間になっており、申し込みが多いため1年余りの待機が予想される。そのため、日本に滞在の方は日本で申し込みをし、CAPが始まる前にニュージーランドに移住することをNursing Council of New Zealand(NZ看護協会)は勧めています。
*マオリ族:ニュージーランドの先住民族
①マオリ族の歴史・文化の理解
ワークショップが1日あり、マオリ族の文化と歴史を学び、マオリ族が入院された際にはどのような対応をすればよいのかなど学びます。グループワークもあり、コミュニケーション力を伸ばす機会にもなります。
②看護師法の講義・テスト
ニュージーランドの看護師法を数日学び、講義最終の週にテストがあります。60点以下は再テストまであるため、結構真剣に勉強しました。
③ニュージーランドの病院のシステム
看護師としては一番興味のある内容でした。病気になったら、まずどこに行く?からはじまり、医療制度に至るまで講義がありました。病院内では、どのような職種がどのような役割をしているのか、クラスの人とお互いの国の病院のシステムと比較したりして 盛り上がりました。 最後は自分のPortfolio(ポートフォリオ:CAPで学んだものを自分でまとめたもの)をつくり、Nursing Council に提出します。
④グループワーク・発表
各グループ(2人1グループ)に分かれ、テーマを決め、そのテーマに沿って調査し発表します。2週間ほどの時間がもらえますが、時間外に集まって話し合い、A4で10~15枚近くの原稿をまとめ、30分で発表しました。私のグループのテーマは看護師法にまつわる内容だったと思います。私の相手はネイティブのアメリカ人だったので、進みが早くて助かったのですが、私にとってはかなり難しい内容であり、また、医療英語の発音に慣れていない私は発表の練習をしている際に「あなた、何を言っているかわからないから発音の練習しっかりしてね!」と呆れられました。かなり落ち込みましたが、発音の練習に励みました。この一言がなかったら、今の私はなかったと思います。
⑤個人の発表
グループ発表と同時進行で、時間外に自分でテーマを決めてまとめ、30分で発表するものでした。これはグループワークより堅苦しくなく、自国の文化を紹介するような内容がほとんどでした。
⑥履歴書の作成方法
とても役立つ内容でした。私は、履歴書と一緒にカバーレター(自分をアピールする紹介文)が必要なことを知らなかったので、就職の際に助かりました。
残念ながら実習先の希望は聞いてもらえません。
受け入れてくれる病棟が限られているため、受け入れの病棟の中で、その人の臨床経験に合わせた所を考慮してはくれているようでしたが、私は、精神科4週間、形成外科2週間という、臨床経験とはあまり関係のない病棟での実習でした。
他の看護師の方は、病棟1か所だけでの実習という方がほとんどでした。
実習の内容は、日本での新しい職員の入職時と同じような形で、プリセプターが1人ついて、受け持つ患者は1~2人からはじまり、看護ケア・配薬・申し送り・記録を行う中で、安全に看護が出来ているか、スタッフ、患者、患者の家族とのコミュニケーションが上手く図れているかなど評価されました。この実習で、看護記録の書き方、申し送りの方法、薬の名称など学ぶことができました。配属された実習場所でそのまま就職される看護師も多いといわれていますが、私は、整形外科にいきたかったので、そのまま就職はせず、整形外科病棟の募集を待つことにしました。
皆さん、どうでしたか?実際の体験談をきくと、実情がよくわかりますよね。特にコミュニケーション能力が必要なことはよくわかったと思います!来月は「就職活動」について、森本さんにお話を伺っていきます。お楽しみに!
森本 博美さん
日本・ニュージーランド・カンボジア看護師
国内で看護師として病棟・外来の臨床経験を経て、保健師として保健所に勤務。その後、ニュージーランドへ渡りワーキングホリデーを体験後、看護師免許を取得。クライストチャーチのPublic Hospitalの整形外科病棟に6年、老人ホームに約2年勤務。2014年にカンボジアに渡り、現在日系クリニックで看護師として活躍中。
※ 本ブログは森本さんが留学された当時の情報です。現在とは異なる場合がございますので、最新情報は必ずご自身でお調べください。
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皆さん、梅雨も明け夏本番の暑さが続いていますがいかがお過ごしでしょうか? さて、今回はCompetence Assessment Programme(CAP)について、森本さんにお話を伺いました。ご存じでない方が多いかと思いますが、このCAPを受けることで、ニュージーランドの医療の仕組みがわかり、実習場所がそのまま就職先へと繋がるメリットがあるそうです。詳しい内容は、実際に受講された森本さんにしかわかりません。さっそくお話を聞いてみましょう!