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カンボジアで活躍する看護師へのインタビュー& 教材を実際に使用しての感想 第1回

前田 千紘(仮称)看護師さん


「日本の医療常識は通じないです。」と語る前田さん。

 
簡単に看護師としての経歴を教えてください。
東京都内の大学病院、地域の総合病院で整形外科、脳外科、泌尿器科、内科、障害者病棟で看護師として10年以上勤務していました。
2014年より、カンボジアの日系クリニックで看護師として勤務しています。
なぜ、カンボジアで看護師として働こうと思いましたか?
初めは、息子のフランス語学校への入学の為にカンボジアを選びました。自分自身の仕事は、看護師に限らず色んな分野で探していたのですが、たまたま日系のクリニックが日本人看護師を募集していました。海外で働くにはその国の看護師免許が必要なのですが、カンボジアでは日本の看護師免許で働くことができ、また私の日常会話レベルの英語力でも勤務可能だったことから、挑戦してみようと思いました。
カンボジアで看護師として、どのような仕事をしていますか?
クリニック内での看護業務一般ですが、診察、検査の介助時に医療通訳も行います。他には、健診業務、薬剤や医療資材の補充や購入など。
クリニックですが、簡単な手術や入院施設も兼ねているため、手術の準備や介助、入院患者の看護も行っています。後は、カンボジア人看護師の指導やスタッフ管理もですが、これが一番大変です(笑)。
仕事でのコミュニケーションは主に英語ですか?それとも日本語ですか?
日本人スタッフ、日本人の医師や患者さんとは日本語で、カンボジア人スタッフや医師とは英語でのコミュニケーションになります。
英語はどのようにして勉強しましたか?また、医療英語はどこで学ばれましたか?
24歳の時に、オーストラリアでワーキングホリデー体験時に現地の語学学校で英会話を学びました。その後、現在の夫(外国人)と結婚してから、カナダや南アフリカ在住時に日常生活の中で学んでいきました。医療英語は、2014年カンボジアの日系クリニックで働き始めてから独学です。現在も業務を通して学んでいます。
カンボジアで働いていて、英語で苦労する事はありますか?
カンボジア人にとっても英語は第二言語となり、個人によって英語のレベルも様々です。英会話では、独特の言い回しをします。例えば「私は必要ないです。」を英語で「I don’t need it」⇒「No need」と省略した言い方や、処置に使うガーゼ(gauze)を「ごす」と言ったり。ジェスチャー交じりに「ごすが取れた」と患者に言われて、私は「何がとれた?」「ごすって…何?」と色々と想像を膨らましてやっと解りました(笑)。 自分のボキャブラリーが少ないので、思ったことがうまく伝えられない事がありますが、上記のように、カンボジア人が話す英語を理解することに苦労することがあります。
「Nursing English in Action」のテキストを使ってみての感想をお聞かせください。
全体の内容としては、実践的でわかり易いと思います。
Listeningは、スピードが比較的ゆっくりなので、初めて医療英語を学ぶ人にはちょうど聞き取りやすいと思います。
付属のCDで実際の発音を学べるので、難しい発音でも何回も繰り返し聞け、身につきます。特に「麻酔科医」の「Anesthesiologist」の発音など難しくて発音できませんでしたが、今は現場でカンボジア人の麻酔科と話をする時に上手く発音出来て嬉しいです。
Readingは、短い文章で医療関連のトピックなので、興味深く読むことが出来ました。特に「ベジタリアン」のトピックでは「Vegan」という言葉を初めて聞いて勉強になりました。異文化の違いも学べていいですね。
Writingは、それまで学んだ内容の復習なので、書くことで医療英会話に必要な定型文が暗記できるようになっている気がします。
Speakingは、ロールプレイなので、職場のスタッフと時間があれば練習し、問診内容などは、クリニックで実際活用しています。
独学でやっていると、一つ一つのダイアログが少し長く感じましたが、慣れるとそうでもないです。
また、現場でどんな場面で役に立っていますか?
カンボジア人医師と日本人患者との診察介助や、現地スタッフとのコミュニケーションで役立っています。特に問診の場面で痛みの程度や種類を尋ねるのに役立っています。カンボジア人医師に日本人患者の診察の前に症状を報告する時も、活用しています。
テキストにないもので、「もっと、こんな内容の教材があったら現場で役立つのでは?」という現場での声をお聞かせください。
実際にカルテに医療英語を使って記載をするときにどう書けばいいのか困っているので、記載方法があれば有難いです。
カンボジアで看護師として働いてみて、日本と比較して大きな違いなどありますか?
日本の医療常識は通じないです。日本では当たり前と思っていた、チームワークや、時間厳守、カスタマーサービス、物品の取り扱い、仕事への責任感など、カンボジア人スタッフと一緒に働いてみて、全く通じない事がわかり、初めはジレンマを感じていました。例えば、カンボジア人スタッフは、朝8時半に出勤時のタイムカードを押したあとに、ゆっくり朝ごはんを食べ始めたり…。日本では業務を開始している時間なのですが。
医療に関しては本当にレベルが低いと感じます。カンボジア人の大半は本当に貧しく、医療費も支払えません。クリニックで働いていてびっくりするのが、診察費用などをディスカウントしろといってきます(笑)。重症な場合、日本では助かる命もここでは助けることができません・・・ハード面でもソフト面でも。
カンボジアでは他の看護師との情報交換などの場はありますか?ない場合、そのような場があれば参加したいですか?
カンボジアで働いている看護師さん方は何人か知ってはいますが、情報交換をするまでにはなっていないです。
もし、カンボジアで働く看護師さん達と集まる場があれば、どのような情報を共有したいですか?
カンボジアでの新しい医療情報が知りたいですね。美容系の医療も含めて。
最後に、これから看護師になる看護学生さんや海外で看護師として働いてみたいと思っている看護師さんに海外で働く事の魅力とは何かを一言お願いします。
日系のクリニックでは、私自身、初めは医療常識が通じずジレンマを感じていましたが、慣れてくると日本でのスキルも生かせるので比較的働き易いと思います。言葉の面でも日本語が通じるので不安や心配も少なかったです。現地スタッフとのコミュニケーションはとても大事なので、英語を学んでおくともっと仕事はやりやすいと思います。日本で経験しないような症例に出会うこともあるので、まずは看護の基本と経験をしっかり積んだら、後は、自分次第で海外で働く事も出来ると思います。現地で生活している日本人には日本人看護師が対応すると心強いとよく言われます。その分責任は…大きいかもしれませんが。やりがいはあります!ぜひチャレンジしてみてください!

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