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私がオーストラリアの看護師になるまで
第2回:就職活動~看護師としての新人1年目編

さて就職活動ですが、日本は4月から就職しますが、オーストラリアは1月から就職です。そのため就職活動は最終学年の4月から開始します。

【就職活動】

就職活動としては、各病院やヘルスケアがブースを持ち、情報を提供するNursing Expoというイベントや、各病院で行われる説明会などを利用し情報収集をします。

留学生の場合、まずやらなければならないことは、自分が希望する病院が留学生を受け入れているかを確認することです。当時は大きな公立病院ですと、Graduate Program全体枠は約120人で、留学生枠は約5人でした。これも数字で決まっているわけではなく、病院が欲しいと思う留学生がいれば、というものです。 Graduate Programに関しては、このあとご紹介します。

現地の学生にはコンピューターマッチというシステムがあるのですが、留学生は直接病院にカバーレターと履歴書を送るのが一般的です。履歴書の見やすさはもちろんですが、何より大事なのはカバーレターです。A4用紙1枚に志望理由や自分のアピールポイントを書き、かつ相手が自分に興味を持ってくれるように書くのがポイントです。また病院によって少しずつ内容を変えたりするのも大事です。面接まで行かないことも多々ありますが、挫けないことが大事です。私の場合は、12病院に書類を送りましたが、面接まで行けたのが6病院で、そのうち2病院に内定をもらうことができました。

【面接】

オーストラリアの面接はだいたい1回で、担当者と2対1での面接もあれば、グループでの面接もあります。私は両方経験したのですが、積極的に話すということが共通して大事なポイントだと思いました。特に日本人特有の気遣いや遠慮などは面接には不要です。ハキハキ&ガツガツがポイントで、そこにフレンドリーさを足すイメージです。

面接時の質問内容としては、なぜこの病院で働きたいのかといった基本的な質問や、各病院にあるValue(その病院が望ましいと思っている価値観みたいなもの)を自分が現場でどう体現できるか、もし職場で同僚と揉め事があった場合どのように対処するか、などです。興味のある分野や今後看護師としてどういう道に進みたいかなどを聞かれることもありました。また、臨床の質問もあり、一番よく聞かれたのが、胸痛を訴える患者をどのように対処するかでした。

7月頃から面接が開始して、面接結果が分かったのは9月末くらいでした。内定がもらえた時の嬉しさは今でも覚えています。内定をもらえたら、あとは無事に卒業できるように必死で勉強するのみです。

【看護師としての新人1年目】

オーストラリアで看護師として働くためには、AHPRA(Australian Health Practitioner Regulation Agency)に登録する必要があります。日本のような国家試験はなく、オーストラリアの看護学部を卒業すれば登録できる仕組みです。2008年当時は、登録条件に英語力テストは不要でした。日本との大きな違いは、登録が1年ごとに更新という点です。

看護学部を卒業した学生のほとんどが、就職先の病院が提供しているGraduate Programという研修プログラムを受けます。

【Graduate Program】

少しここで「Graduate Program」について説明させていただくと、簡単に言えば1年間の新人研修プログラムです。病院にもよりますが、6カ月ごとに異なる病棟で研修をします。担当する病棟は、Graduate Program Coordinator というプログラムの統括者によって決められます。

この研修プログラムの期間中は、各病棟に配属されているClinical Nurse Educatorという看護師がサポートをしてくれます。Clinical Nurse Educatorとは、病院の教育部に所属する看護師で、患者の受け持ちはせずに病院に在籍するすべての看護師の教育を担う役職の看護師です。私が勤めていた病院の教育内容としては、昼休憩後に週3~4回、各病棟の看護師全員を対象に45分ほどの教育講座が開催されます。症例が少ない病気の患者が入院した時、その病気の解説をしてくれたり、他の病棟のClinical Nurse Educatorが講義したり、新しい医療機器の説明などを行ってくれるのです。

またPreceptorshipという、その病棟で働いている間のサポートをしてくれる各自担当の先輩看護師がつく制度もあります。他にも、勉強会、実践のスキルチェック、面談などで、学生から一人前の看護師への成長過程をしっかりサポートしてくれるのです。

次回の記事では、2年目以降の体験記をお話しいたします。

※本ブログは松本さんの滞在当時の情報です。現在とは異なる場合がございますので、必ず最新情報はご自身でお調べください。

執筆者

松本真由子プロフィール

オーストラリア看護師 松本 真由子

オーストラリア、メルボルンにあるラ・トローブ大学で学び、看護師免許取得。取得後、ロイヤル・メルボルン病院の脳神経内科、感染症病棟、総合内科などで勤務。働きながら、2011年オーストラリアン・カソリック大学大学院にて、Graduate Certificate in Clinical Practice (Medical)を修了。
2012年よりAssessment and Planning Unit(現:Acute Medical Unit)へ異動し、Clinical Nurse Specialistを経て、Associate Nurse Unit Managerとして勤務。 看護師長代理、ロスター・マネージャーを経験。2020年3月、病棟がコロナ対応病棟として稼働。2021年帰国。

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